淀工グリー

淀川工業高校グリークラブを取り上げた5月10日のプロジェクトXに「クレーム」がついた。吹奏楽部の立場はどうなる、グリーだけじゃないぞ、その他誇張表現があったとかいろいろ...。NHKは謝罪したそうだ。番組Webページからは、放送内容が削除されている。
わたしは高嶋センセイと淀工の「伝説」も知ってるし、一度だけだけど高野山合宿で指導うけたりもしたし、周りの「あの淀工が全国やで、めちゃうまいんやで。」という、当時から今もかわらぬ評判も、知っている。そういう「関西のイチ合唱人」としては、強引に団員を(食べ物で釣って)集めて、日本語の発音から基礎をたたきこんで、ノドが切れて血が出るまで練習して、反骨精神を生かして合唱音楽へと昇華させた「奇跡」は誇張ではない。
ただ、番組構成上「センセイ」を主役として美化にしすぎたんじゃないのかという気がしたのだ。夜回り先生やごくせんや金八の影響なんじゃないだろうか。普段は関西人らしく「おおげさ」(こーんなちっちゃな話をこーんなでっかくしてネタにする)で、練習になると「こんなんも出来ひんねやったら、出ていけ!!いんでまえ!!」と超厳しい先生の「素顔」や、ともにグリーをつくってきた他の先生方の存在、名伴奏者の存在、そして地域の存在がもっと出てきてこそ、本当の淀工グリーのドラマが生きてくるはず。
淀工のコダーイと御誦の演奏が番組中に流れた。たぶんわたしが男声合唱にハマりだした頃と重なる。わたしは、コダーイや御誦を高校の試験勉強や大学のレポートの友として聴いていた(変人だ)。※ちなみにそのテープの演奏者は関学グリー。
番組でも、もっとじっくり、ゆっくり演奏を聴きたかった。
ある筋からは、「プロジェクトX自体がもうネタ切れで、それでも継続しなければならない事情がある」という話を聞いた。そんな現場の、低いモチベーションから、いい番組が生まれるわけがない。せめてNHKには、志を高く持っていてもらえないものなのだろうか。