ネットフレーム(ネット上のいざこざ)

小学生が、リアル友と、ネット上でいきちがってしまい、相手を殺したという。

大人でも、ネットの喧嘩はこじれる。
ネットをあまり知らない人の想像の、5倍(当社比)くらいは、こじれる。
前の会社でも、社内電子掲示板で、しばしば見かけたなぁ。
突然感情的になり、言葉尻をとらえて、いつまでも延々とやりあってしまうのだ。

こういうネット上でのいざこざのことを、わたしは、ネットフレームと言っていたのだが、あまり一般的な用語ではないようだ。(ぐぐってみたが、それらしいのが出てこない)

flameは「炎」「激情」。怒りを表現するために、「*flame on* こんにゃろ〜 *flame off*」なんて使い方もする。
某電子辞書によると、動詞として、「電子掲示板や電子メールなどにおいて、言葉で攻撃する、かみつく、罵倒する」という意味もあるそうだ。
名詞にして フレーミング flaming なら、IT用語辞典にも載っていた。

で、その、ネットフレームについて。
数年前、ある人気のあるネット上の日記書きさん(Aさん)が、自分の日記の中で、別の人気のある日記書きさん(Bさん)のことを「私はBさんが嫌いです」と書いた。それがBさん本人の耳に入り、相当気分を害したBさんは、自分の日記の中で言い返した。
Aさんは、「納豆が嫌いです」とか「トム・クルーズが嫌いです」とかいうのと同じようなつもりで書いたという。それで、Bさんの「過剰な」反応を「ほら、そういうところがちょっとね...」みたいにあげつらって、火に油を注いだ。
周りも巻き込んで、相当長い間、泥沼の言い争いを続けていた。

お互い、リアル友とまではいかないが知らない仲でもなかったのも、ひどくこじれた一因だったのかもしれない。

このような時...書かれた方は、「なぜこんなことを書かれるのか」と繰り返し思い返しては、「次はどう反応すればいいのか」と、昼も夜も考え続ける。道を歩いていても、ゴハンを食べていても、浮かんできては、頭を悩ませる。自分が書き込んだあとは、相手の反応が気になり、10分おきに見に行ったりメールチェックをしたりする。そのことを考えると夜も眠れなくなってしまう。
そして、自分をそんな状態に追いやった相手への怒りが、またわきあがってくるのだ。

もちろん、顔をあわせての言葉のやりとりや、電話でのやりとりでも、そのように「次はどう言い返してやろうか」と考えて眠れなくなることはあるだろう。しかし、ネットの場合、表情も声の調子もわからないので、どんな顔でどんな言い方で言っているのかは、想像するしかない。で、その想像上の相手は、ありえないぐらい嫌味な顔をして、吐き捨てるような言い方をするものなのだ。
それで、言われた方はキレて感情的に言い返すのだが、相手はその経過を知らないから、「なんでそんなに感情的になるの?おかしいよ」という反応をする。または、同じように眠れなくなり、相手を恨んで言い返すのだ。その繰り返しで憎悪が増幅されていく。

こうやって、生活がまるごとネットフレームに侵食されてしまうのだ。

ネットフレームに巻き込まれると、大人でもおかしくなる。
多感な小学高学年には、重過ぎるだろう。
今回、リアル友だけに、なおさらかもしれない。

それでも、カッターナイフをふるうというのは、何かが決定的に掛け違っているとおもう。
そこは、決して、ネットのせいではない。