JR叩き報道の不快

乗り合わせたJRの社員が救援活動をせずに自分の持ち場に向かったとか、レクリエーションが決行されていたとか...なんでそういうことをマスコミ（特にテレビ）は今ことさらにいじくりまわすんだろうと、とても不快に思っている。わたしは、JRに対する怒りや不快感よりも、マスコミに対する怒りや不快感のほうが大きいのだ。
通常、巨大旧態企業の社員のひとりひとりには、みずからの役割を変更する裁量は認められていない。他の路線のダイヤの混乱に備えて自分の持ち場へ急ぐのが役割であれば、『非常時には人命救助を最優先するという申し合わせがない限り』あらかじめ決められた役割を果たすしかないだろう。また、巨大企業の一路線の一箇所の事故によって他部署が動きを変えるかどうかについても、『迅速な危機対応手続きが決められていない限り』変えないのが通常なのではないか。*1
もちろん、ニュース映像や実際の現場を見て「尋常でない」ことを察知することができなかったというのは、人間として何らかのチカラが決定的に欠けている（感受性がさびついているというか）とおもう。しかし、それを今どうこうするより、先にすることがあるのではないか。
JRと事故調には、物理的な事故原因の解明や再発防止策の策定に注力してほしいのだ。今、外野がワイワイ言って叩くのは、そのことの邪魔になるんじゃないのか。マスコミは、解明に時間がかかってネタがないから、「JR叩き」をしてるんじゃないかと勘ぐってしまう。ましてや、遺族が聞いたら怒り心頭でやりきれない気持ちになるとわかっている事実を、わざわざ知らせて怒らせて涙を流させてそれを撮影して公共の電波に乗せてるなんて、ただの感情論の垂れ流しじゃないのか。お涙頂戴のドラマじゃないんだから、むしろもっと遺族に対しては配慮ができないものなのか。
「感情論」での「便乗」というのは人間としてかなり「きたない」手であると感じる。マスコミは、JRの体質の古さや体制の整っていない様子を暴くのなら、普段から地道に取材をして、こういう非常時じゃないときに思う存分暴露しといてくれ、とわたしはおもうのだ。

*1:『』で囲んだ部分（＝危機管理マニュアル）が存在していていなかった、もしくは現場末端に浸透していなかったのだとすれば、それはそれで非常に問題だとは思うが。